hijiriko’s blog

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いつか使うかも知れない冒頭文 巻島編

 溶き卵と牛乳、砂糖は大さじ一杯。お好みでヴァニラ・エッセンスを数滴。パンは食パンでも、バゲットでも良い。それらをバットに移し、ラップのカーテンを閉めて好きなだけ同居させる。暗い冷蔵庫に一日も同居させたなら、あっという間に皆は恥じらいを捨て人目をはばからず愛し合い、やがて一つになるのだ。彼等の初恋のような初々しさはいつか燃えるような大人の恋を望むようになることを、裕介は知っている。頃合を見計らって低温のオーブンに入れ、全体に焼き色が付くまで焼いてやれば、美味しいフレンチトーストの出来上がりだ。

 小さい頃に母がフレンチトーストを焼いてくれたことをきっかけに、裕介はこれがとても好きになった。焼き上がったそれにはメープルシロップも良いが、蜂蜜を掛けると尚良い。バターは上にちょこんと乗せてやると、恋人達の熱に痺れ溶かされて甘やかな香りを放つ。色恋の営みが垣間見え、口に含めば愛の味がするそれは、裕介の舌と心を少しだけ大人にした。

 

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巻ちゃんの好きな食べ物はわからないんですね。調べてみて、あれっ?てなりました。フレンチトーストを好む巻ちゃんは如何でしょうか。いつか使おうと思います。